初キス

1/2
前へ
/39ページ
次へ

初キス

「じゃあ、今日はここまでで。次までにここをやっておいて」 「はい」  あなたが、いつものように次の授業までにやる課題のページに付箋を貼っている。  それを見ながら返事をした。  付箋を貼る指先にさえ見惚れてしまうのは、僕があなたを意識しすぎてるからだろうか――? 「一度さ、大学見学してみない?」 「えっ、いいんですか?」 「うん。案内してあげる」 「じゃあ、行きたいです」  あなたからの突然の提案に、僕は迷わずに返事をした。  一緒の大学を受けるといっても、僕はあなたがどんな大学に通っているのか知らないから、見てみたいと思った。 「それじゃあ、今週の土曜日の午後はどう?」 「学校終わってからでいいですか?」 「もちろん。俺も授業あるしね」 「わかりました。じゃあ、土曜日の午後で」 「了解。ちゃんと案内するよ」 「はい」  こうして、僕たちは土曜日に会う約束をした。  家庭教師以外で二人で会うのは、いつ以来だろう?  もう、ずっと昔だった気がする――
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加