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初キス
「じゃあ、今日はここまでで。次までにここをやっておいて」
「はい」
あなたが、いつものように次の授業までにやる課題のページに付箋を貼っている。
それを見ながら返事をした。
付箋を貼る指先にさえ見惚れてしまうのは、僕があなたを意識しすぎてるからだろうか――?
「一度さ、大学見学してみない?」
「えっ、いいんですか?」
「うん。案内してあげる」
「じゃあ、行きたいです」
あなたからの突然の提案に、僕は迷わずに返事をした。
一緒の大学を受けるといっても、僕はあなたがどんな大学に通っているのか知らないから、見てみたいと思った。
「それじゃあ、今週の土曜日の午後はどう?」
「学校終わってからでいいですか?」
「もちろん。俺も授業あるしね」
「わかりました。じゃあ、土曜日の午後で」
「了解。ちゃんと案内するよ」
「はい」
こうして、僕たちは土曜日に会う約束をした。
家庭教師以外で二人で会うのは、いつ以来だろう?
もう、ずっと昔だった気がする――
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