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「そして、ようやく見つけた……。高校生だった玲弥君は、成績優秀で特に英語に関しては素晴らしいくらいの才能があった。だから私も徹底的に英語を勉強したわ」
「もしかして、それで同じ大学に?」
「そう。バカみたいって思うでしょ? でも、もう一度、出会いたかった」
純菜さんは、本当にあなたのことが好きなんだ。
話している表情を見ていて、そう思った。
僕なんかよりも、ずっと前からあなたのことが好きで、ここまで追いかけて来たんだ。
僕なんて、自分の気持ちから逃げてしまったのに――。
「バカだなんて思わない」
僕は、思っていることを口にした。
一瞬、驚いたような顔をした純菜さんだったけれど、すぐにニッコリと笑って、
「私ね……振られたの。玲弥君……好きな人がいるからって。隣に住んでいる幼馴染みの子だって。だから、よく話題に出ていた壮亮君のことかもって思って、会いに行ったの」
「純菜さん……」
「この間の大学見学で確信した。彼はあなたのことが好きだって……。そしたら、無性に悔しくなっちゃって……あんなこと……」
「どうしてですか? 何故、玲弥さんが僕のことを好きだって思ったんですか?」
「それは、ずっと好きだったんだもん。見てればわかる。好きな人を見る目や、しぐさ、全てが壮亮君を好きだって……」
「そんな……」
純菜さんが、優しく目を細めて僕を見ている。
僕は、そんな純菜さんから目を逸らした。
真っ直ぐに見つめられても、自分が真っ直ぐに見つめることができるようなことはしてない。
いつまでも、迷ったまま――。
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