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「ね、今日のリベンジ、近いうちに果たそうよ」
もともと日帰りの予定だったこともあり、今日は泊まらず帰ることに。途中まで送ってくれるという末広に甘え、ゆっくりと家路をたどっていると、彼がそう提案した。わたしはそれに賛同するよう頷く。
「うん。今日と同じ服着てもいいなら」
「それは問題ないよ。新鮮な反応してあげる」
「ありがとう。でも、柊くんなんだかんだで夏休み忙しいんでしょ?」
「まぁね。おれの友達にやきもち焼いてくれる桜子はかわいかったけど、それ以上に桜子の悲しそうな顔を見たとき胸が痛んだから、できればもう見たくないと思ったんだよね」
「あー、今日は本当にごめんね。わたし、柊くんのお友達とは可能なかぎり仲良くしたいから、印象が悪くなるような変な態度取らないよう気をつける。もちろん、むりはしないけど」
「そっか。桜子のそういうところすき」
「惚れ直した?」
「うん。一生手離したくないってますます思った」
「じゃあ、わたしのことつかまえてて、絶対に離さないでね」
わたしがそう言うと、末広が手をぎゅっと強くにぎってくれた。
そのときに感じた彼の手のあたたかさを、忘れることはないと思う。
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