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「やっぱ考えることはみんな同じだよなー」 「そうだよね」 目的の店に到着すると、まあまあな長い列を作っていた。欲しい気持ちに変わりはないので、わたしたちもそこに並ぶ。 「並んでるうちに暑くて溶けそう……」 「柊くん暑いのほんと弱いね」 ハンディファンを顔に当てながら、末広が嘆く。相合い傘とはいえ、折りたたみの日傘を差しているから、直射日光を浴びないだけ、まだ良さそうだが。 「もしかして、わたしが密着してるせいで余計に暑い?」 「それはあるかもだけど、桜子に離れてほしくはないな」 「もう、暑いって言ってるのに、どうしてそうやって暑苦しいこと言うの」 「うーん、愛かな」 こうして末広と付き合ってから6年くらい経っているから、わたし自身はこういう言動に多少慣れているものの、傍から見ればバカップルに見られても仕方ない。 小心者だから、往来の目が気になるけれど、気にしないようにしている。
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