10人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱ考えることはみんな同じだよなー」
「そうだよね」
目的の店に到着すると、まあまあな長い列を作っていた。欲しい気持ちに変わりはないので、わたしたちもそこに並ぶ。
「並んでるうちに暑くて溶けそう……」
「柊くん暑いのほんと弱いね」
ハンディファンを顔に当てながら、末広が嘆く。相合い傘とはいえ、折りたたみの日傘を差しているから、直射日光を浴びないだけ、まだ良さそうだが。
「もしかして、わたしが密着してるせいで余計に暑い?」
「それはあるかもだけど、桜子に離れてほしくはないな」
「もう、暑いって言ってるのに、どうしてそうやって暑苦しいこと言うの」
「うーん、愛かな」
こうして末広と付き合ってから6年くらい経っているから、わたし自身はこういう言動に多少慣れているものの、傍から見ればバカップルに見られても仕方ない。
小心者だから、往来の目が気になるけれど、気にしないようにしている。
最初のコメントを投稿しよう!