3.

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「どしたの、桜子。そんなにフィルム割れたの悲しいの?」 「うん。最悪だよ」 「気になるなら、あとでおれが貼り替えてあげるから、機嫌直して。な?」 「……柊くん」 「ん?」 「すき」 「うん」 「機嫌、直す」 わたしがそう言うと、末広は「ん、いい子」と笑ってわたしの頭を撫でる。 「ねぇ、柊くん」 「どうした?」 「わたしのこと、離さないでね」 「当たり前だろ。絶対離してやらねーよ」 そう言って、末広はわたしの手を強く握った。 パークでは、閉園時間の30分前になると、名スポットとなっている大きな噴水の前でイルミネーションを使ったショーが行われる。季節によって変わるので、飽きられることなく、いつ来てもひとが多く集まっている。 わたしと末広も来たはいいが、到着が遅くなってしまったため、既に待機しているひとが多く、あまりいい場所では見られなさそうだった。 「あー、出遅れたな。微妙な感じにしか見えない」 「ほんとだ。これなら先に帰るのもアリかな?」 「混雑回避ってことか。桜子はそれでいいの? ここのイルミ楽しみだったんじゃ」 「ううん、いいの。今日は一日柊くんに楽しませてもらったから。気分がいいまま帰りたいしね」 それもそうか、と末広は納得してくれ、わたしたちはパークをあとにした。
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