10人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういえば、サークルってどうするか決めた?」
伽奈ちゃんの、何気ない一言だった。
それを待ってましたとでも言わんばかりに、萌凛ちゃんが反応する。
「映研一択、だね! 何か入りたくて、でも何がいいかわからないって言うなら、ぜひ!」
「えっ、もしかしてもう入部してる?」
「いやぁ、実は知り合いの先輩が所属しててね、勧誘するよう頼まれて……もちろん、わたしも入るつもりだけど」
「そうなんだ」
「伽奈ちゃんは?」
「わたしは軽音かなぁ。萌凛ちゃんみたいに知り合いがいるとかではないんだけど、高校時代の名残りで、また同じものやろうかなと。まぁ見学してから決めようと思ってる」
「へぇ、ふたりとも、すごいんだね」
「桜子ちゃんは? 入らないの?」
「うーん、どうしよう。明日のガイダンスで良さそうなのなければやめとこうかな」
「そっか。もし興味持ったら、ぜひ映研にね!」
強烈な勧誘だったが、とりあえず軽く受け流し、午後の授業もしっかり受け、ようやく一週間が終わる。
「……あ。桜子!!!」
「柊、くん?」
3時限終わりのわたしは、5時限目に授業を入れたというふたりと別れ、大学を出て駅の方面に向かって歩いていた。すると、前方ではなくなぜか背後から末広に声をかけられる。
「なんで、ここに……」
「迎えに来たの。でも、危うく行き違いになるところだったな……ちゃんと連絡すればよかった」
「そっか。ありがとうございます、柊先輩」
「くるしゅうない」
「あはは」
「いや実は、この大学の近くに楽しいところがあるらしくて、そこに行きたいのも兼ねて迎えに来たんだ。ね、今から行ってみない?」
「いいよ。でも、楽しいところって?」
「たぶん、身近にありすぎて、見逃してるところ!」
最初のコメントを投稿しよう!