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「安藤さん。あのオヤジ、どうしてくれましょうか」
総理を閉じ込めたのは、自分たちの立場を守ることしか考えていない証拠。ああいう輩には、お仕置きをせねばなるまい。
「安藤さん?」
隣にいるはずの安藤さんから返事がない。姿が見えないので居場所もわからない。小声で安藤さんに呼びかけていると、不意にスタジオがざわついた。
「CMだ、CMに行け!」
怒号が飛び交う中、大門に目をやって思わず吹き出しそうになった。彼の頭が、見事なまでのつるつるになっていたのだ。さっきまでロマンスグレーの七三分けだったのに。
「おい、ナカタニ! 何してる!」
大門は頭を抑えて、付き添いの男を怒鳴りつけている。床に落っこちていたらしいソレを、男が拾って大門の頭に慌てて被せている。
「馬鹿、後ろ前だ!」
イロイロメガネによって、彼のアレがソレなのは知っていた。多分、安藤さんが頭のソレを掠め取ったのだろう。ちょっとした放送事故だ。
『さて、場が温まったところで、ショータイムといきましょうか』
ざわつく中で、安藤さんから通信が入る。
「次は何を?」
『もちろん、罪を告白してもらうのですよ』
安藤さんは決意に満ちたような声で答えた。
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