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「官房長官、この後の出演はどうなさいますか。ここで切り上げますか」
「馬鹿なことを言うな。このまま帰ったらいい笑いものだろう」
大門がテレビ局のスタッフまで怒鳴りつけている。もう十分に笑いものだと思うが。
「では、続けますよ。本当によろしいんですね」
「くどいぞ。何か問題があるのかね」
アレを装着し直した大門は、本当に何事もなかったようにふんぞり返った。流石大物政治家は精神構造が違うらしい。こうなるともう、開き直るしかないのだろう。
「それでは、次は〝ニッポンの未来を考える〟と題して討論を行っていきます」
CMが明けて、テレビでよく見る政治評論家や、他党の政治家がスタジオに入ってきた。番組はそのまま続行するらしい。
「昨今では少子化、そして高齢化が問題になってきています。政治の中核におられる皆様に、問題解決に向けたビジョンをお聞かせいただきたいと思います。では、官房長官から」
「はい。まず、高齢化問題に関しては、福祉を充実させることが最優先事項にゃん」
スタジオの空気が凍りつく。この感じ、身に覚えがある。
「……官房長官?」
「にゃにかにゃ?」
本人は気づいていないらしい。なんだか見ているこっちがハラハラしてきた。
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