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「ところで鈴井君。今日から新しい研究員が入る事になった」
唐突すぎて、わたしは思考がフリーズした。
「……え? 聞いてませんよ」
「だろうな。言った覚えはないしな」
素知らぬ顔で猫と戯れている三城さんを見ていると、入口の扉が開く音がした。
「お久しぶりです。三浦天音です。お世話になります」
若い女の子がわたしに頭を下げた。何度かうちにバイトで来ていた女の子だ。
「あなた、まだ高校生よね?」
「はい、本当は大学に入ってからと思ったんですけど、待ちきれなくて。学校に行きながら、ここでお世話になることになりました」
あれ程ここはやめておけと言ったのに。わたしは博士を睨んだ。それは、彼女を巻き込んだ事そのものではなく、ちょっとヤキモチが入っていたのかも知れない。
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