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医者は笑って言いました。私は役所に行きました。駄菓子屋との交渉を断るつもりです。川に飛び込んだ時に確かに誰かが私の踝を掴んでいた。あの時老婆と話をしていた緑色の足をした奴だろうか。次は殺されてしまうかもしれない。民家を直して暮らすのが私の身の丈にあった暮らしであると思いました。
「駄菓子屋の件は諦めてください。私には荷が重い」
「それどころじゃありませんよ。計画が頓挫しました」
「カナダ人家族は?」
「来ません、古民家民宿の話も打ち切りです」
「何があったんですか?」
「まだ公にしていませんが町長が襲われました」
「えっ、誰に?」
「深夜です、背の低い子供のような連中だと言っていました」
「それで町長は無事でしたか?」
「はい、一命は取り留めましたが駄菓子屋の撤去は撤回するよう脅されたと言うことです。次は家族を狙うと言われたそうです」
「それで私はどうなりますか?」
「一旦すべて中止にします。古民家の改修工事も打ち切りです。予算は一切出ません。それじゃ私はこれで、色々と整理をしなければならないので」
担当は逃げるように私の前から立ち去りました。私は恐る恐る駄菓子屋を見に行きました。老婆は石橋の上で立ち小便をしていました。
「籤か?」
私に気付いたようです。老婆に言われるままに籤を引きました。
「スカだ」
老婆は私の剥がした丸くて赤いシールを部屋の壁に貼り付けるのでした。
了
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