あなたになりたい

1/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
始まりは高校一年の入学式の日だった。 私の名前は横山みのり。 身長は158cmと平均、体重もまぁ平均ぐらい、顔は中の中(だと思いたい)、いたって普通だ。 家族は両親と兄一人。まぁ普通に仲のいい家庭だと思う、ときどきお父さんがうざいぐらいうるさいけど。 この高校は第一志望の県立に落ちたため、第二志望の私立の学校だ。第二志望と言っても制服はこの辺では一番か二番目にかわいいと言われているので、まぁ満足している。 私のクラスは10クラスある中の5組。 入学式後にホームルームがありその中で簡単に自己紹介をした。 私の前の女の子の順番になった時彼女は立ち上がり、みんなのほうを向いた。 「広山中学出身、横川みどりです。高校では友達を作って楽しく過ごしたいと思っています。」 私の前の席の横川みどりは…すごくかわいい女の子だった。アイドル並みだと思った。後で聞いたけど、廊下にいたすごく綺麗な人がお母さんだったらしい。美人親子、いいなぁと思った。 すぐに私の順番だ。 「あっ、下野中学出身の横山みのりです。よろしくお願いします。」 そういって座ろうとしたとき、横川みどりが振り向き、小さい声で「名前が似ているね、友達になってくれる?」と話しかけられた。「も、もちろん、よろしく」と私の答えは即答だった。 入学式早々友達ができるなんて、しかもこんなに名前も似てるってなんか運命的なものを感じる!!! 次の日、乗ってきた電車も同じだったみたいで、駅からの道を一緒に歩いた。 身振り手振りが大きいのが彼女の癖みたいで、大きく手を動かしながらおしゃべりをしていた。 つい私までつられて手の動きがいつもの2倍激しくなっていく。 お互いの好きなものも嫌いなものもすごく似ていた。 好きな食べ物はハンバーグ、嫌いな食べ物はピーマン。 好きな教科は音楽と社会、嫌いな教科は数学と体育。 中学時代の部活動は美術部、高校はまだ決めてない… こんなに共通点が多い友達ってなかなかいないよね~ 高校生活が楽しみになってきた。 高校入ってすぐの日曜日、2人で遊びに行くことにした。 待ち合わせは高校の最寄り駅、ここからバスでショッピングモールへ向かう。 私は白のシャツに黒のサロペット、 みどりは白のシャツに黒のロングスカート。 なんか、服装まで似てるね~と笑った。 せっかくだからおそろいの服を買おうよとよく行くブランドでおそろいのシャツとスカートを買う。 文房具もお揃いで。 双子みたい~と2人で笑った。 「もっとみのりみたいになりたい!」 とみどりは言う。 みどりのほうが私より何倍もかわいいのに、私みたいになりたいなんて…それでいいの?とも思ったけど、うれしかった。周りの友達には引き立て役にされてるんじゃない?と言われたこともあったけど、みのりのほうがかわいいよといつも言ってくれた。 2人が選んだランチも同じもの、チーズハンバーグランチ。 高校1年生の一年間はほとんどずっと一緒にいた。 私の学校では2年生になるときにクラス替えがある。そして3年生になるときはそのままクラス替えがない。 だからここで同じクラスになれないと卒業まで同じクラスにはなれないことになる。 2人の作戦は同じクラスになれるように同じ選択科目を取ること。 同じ文系コース、日本史と生物を選択。 2年生初日、学校に行くとクラスが発表されていた。 私は‥3組。 みどりは…2組。 別れてしまった。 悲しい。 2組に行ってみどりを探す。 私を見つけたみどりが一目散に駆け寄ってくる。 「みのり~」「みどり~」 2人で抱き合った。 かなしいよぉ。 みどりに「放課後、秘密の話があるから屋上に来て。」といわれた。 え~っなんだろう。 今までそんなことなかったから、どきどきする。 放課後、屋上への階段を上る。 いつもは鍵が閉まっているのに今日は鍵が開いてる。 先生に見つかるとまずいので念のため小声で 「みどり~」 と声をかけながら屋上に出たら、春のまぶしい日差しで一瞬前が見えなくなった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!