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このおじさんが言うにはこうだ。パーティーメンバーが課金を煽るからどんどん課金をして、勤め先の金にまで手を出したということらしい。
「それ、僕に話されても困るんだけど」
どれだけ金を注ぎ込んだかはわからないし、額を知ったことで僕にはどうにも出来ない。
その前についさっき会ったばかりの人間ーーしかも、犯罪者に労力を割かなければならないのか。
「君、冷たすぎないか!?」
「冷たいも何も。僕はおじさんを助けたり出来ないよ。未成年だし、上級国民の子どもじゃないし」
僕はそう言って去ろうとする。こんなおじさんは見捨ててゲームを続けよう。
「君、課金をしたことないだろ!?」
「はい?」
「俺は4000万課金をした! それに、君は今までパーティーを組んだことがない!」
「はあ……」
「だって、有名だからな! ぼっちの魔術師だと!」
「は!?」
「職業は魔術師なのに、名前は暗黒剣士アズマ!」
僕、悪目立ちしていたのか……。
ゲームを始めてから一年以上、僕は一人で遊んでいる。最初の難関である冥界でのラスボス戦をクリアできずに、ずっとはじまりの村と冥界とを行き来していた。
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