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「仮面さん、そんなことおへんえ! 仮面さんのおかげでうちは元気になれたんどっせ」 「お嬢さん、こんな私でも、だれかのお役に立てたんどすな」 「うちの命の恩人どすえ」 「お嬢さんが元気にならはって、こんな嬉しいことばをかけてもろて!」 りんと仮面さんが涙を流しながら話しているところへ、入ったばかりの若い上女中が戻って来たのだった。上女中は、仮面を外した仮面さんの目を見て、悲鳴を上げた。 騒ぎを聞きつけた、善兵衛もやって来た。 「なんやその青い目! 仮面なんかでごまかして!」 「おとうはん、仮面さんはわるいことは何もしてはらへん。うちの命の恩人やのに……」 「旦那さん、手前のようなものを長屋に住まわせてもろて、手伝い仕事もさせてもろたのに、堪忍どっせ……」 善兵衛は激昂していたが、仮面さんは静かに善兵衛に礼を言って、部屋を出て行ったのだった。善兵衛は、仮面さんの一件は口外無用だと家の者にきつく命じた。
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