1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
告白
男はカフェの雰囲気を楽しんでいる。ひとりカフェの落ち着いた店内を眺めている。ホットコーヒーをひとくち飲む男。
となりの席に若い女子二人が座る。
女子同士の会話、男はこっそり聞き耳を。
「さむいよね~、何を飲もうかな?」
「あたし、ホットココア」
「あたしもそれにしようと」
男はこっそり会話を聞く。ホットコーヒーをひとくち飲む男。
「あたし、隠していることがあるの」
「なになに~?」
「あたしのことをどう思っているのかな、なんてね」
他愛もない会話だなぁ、そう男は思った。
「今はあなたのことを好きになりかけているの」
「え? 本当に?」
男はマジで? そう考える。
「あたしのどこを好きなのかな?」
「全部、って言ったら、ウソになるね。あなたとの時間が夢みたいよ」
まあ、今の時代にいろんな人がいるからなあ、そう男は思った。
「好き。あたしも好き。世界の誰よりも」
「あたしも好き」
砂糖入れすぎたかなあ? ホットコーヒーが甘くなってきたなあ、そう男は思った。
「あたしたち、将来は一緒に居ようね」
「それはイヤ」
なんでだよ、男は思った。
「あなたとのお泊まりにいびきがうるさくて眠れなかったから」
「ひどい! あたしたち、そんなことで一緒になれないの?」
まあ、かわいいもんだよな、男はホットコーヒーを吹き出すのをこらえる。
「ねぇ、あたしは遊びなの?」
「それは違うよ? ただ」
「ん? 何よ?」
「あなたの部屋にゴキブリが出た時はヤバかった」
男はゴキブリを想像してゾッとする。
「ひどい! あたしたち、もう終わりよ!」
「待って! 話は終わってない」
男は思った。この二人、もう一緒になれよと。
「あたし、耐えられない!」
「待ってー! 健二ー!」
「え? 男なのか?」
会話を聞いていた男は残された女子と思われる人に思わず聞く。
「はい、あたしとあの子は男の娘なんです」
男は思った。世界はいろんな人がいるのだなあ、とね。
終わり★
最初のコメントを投稿しよう!