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満天の星空を眺めながら優雅に体を湯の中で伸ばすと心地よい温度と首筋から頭にかけてのひんやりとした野外の風のコントラストに心奪われた。 温泉宿の醍醐味と言えば露天風呂であろう。 夕食前にアヌビスの面々は思い思いの時間を過ごしていた。 女性陣は迷うことなく入浴を選択した。もちろん、伊達が覗きに来ることがないように執拗なまでに眞壁に釘を刺して、である。 「ああああ〜、本当に来てよかったわ〜。真冬の露天風呂は最高よねー!」 ため息と共に茜は手を肩に当てながら、首を左右に振り動かし、重い荷物運びで酷使した体を労った。 「茜さん、いろいろお疲れ様。大所帯の宴会だから準備大変だったでしょう?」 ジェディは長い髪をひとまとめに結い上げて湯から上がり、湯船の淵にある大きな御影石に座って後れ毛を指でかき上げた。
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