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「入浴しにきた人がそんな壁際にいて頭をこちら側に出そうしますか?それも腰に巻いたタオルは濡れてない。足には足音がしないようみ吸音材付きのサンダル。右手にビデオ。左手にセルフィー用の撮影棒。しかも先端には鏡付き(そんなの透視も霊視もしなくてもわかるわよ!)」
ジェディは竹壁の一点を指差しながら断言した。
こちら側からは見えるはずのない伊達の出立ちを、まったくすべて言い当ててしまった。
「ギクゥ(何で見もしないでお見通しなの!?) ボクハ〜タダ〜リンカガシンパイデ〜ツイ〜ィィィ」
「心にもない言い訳を」
「そうよ!自分の落ち度をかわいい凛ちゃんの所為にするなんて!なんて最低親父!」
「怜奈!」
茜が怜奈の方を見て叫んだ。
「はいですう!こんなこともあろうかと〜(予測の範疇が的中したのでびっくりですが)そちらのお風呂の周囲には、あらかじめ符呪で結界を張らせていただいておりますぅ」
怜奈は勢いよく湯から立ち上がるとタオルが水圧で落ちるのも気にせず両手を合わせ祈り始めた。
「眞壁さんには伊達さんの見張りと、もうひとつお願いしてあったのよ」
「はうっ!?」
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