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「いやああああぁぁ〜、眞壁くん、いいところだねぇ」 巨漢の男は身をくねらせながら窓を開け、豪快に外に身を乗り出した。 放っておけばそのまま屋根まで登っていくような勢いだ。 眼前には冬の日本海の大海原が、まるで演歌のように飛沫をあげて荒ぶっている。 冷たい風が潮の香りを部屋に運び、ここが東京ではないことを思い知らせる。 「伊達さんっ、いい歳してはしゃがないで!もう!恥ずかしいったら!」 青い髪の女性が荷物を運び込みながら呆れ半分で制止するも伊達は止まろうはずもない。 ここ数年来の疫病の影響で、ついぞこのように大人数で集まって泊まりがけの旅行などなかったのだから興奮の度合いも知れるというものだ。
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