灰の空に哀が差す

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 灰の空に薄らと藍が差さっていく。門限だからだろう。5と11を指すモニュメントクロックをガン見し、口々に「やべぇ」と呟きながら20インチのチャリを漕ぐ姿。それを横目に俺は、人のいなくなったトンネルネットの上に寝そべった。 ※ ※ ※  毎日同じ食事をすると飽きるのと同様に、プログラムされたように毎日同じ行動を取り続けたら当然飽きる。それもパンフレットと見学会に騙され入学したともなれば、飽きではなく苦痛と呼んで差し支えないだろう。だから、新鮮さを無意識のうちに求めていたのかもしれない。  四限を終え、レポートを似非関西人(きょうじゅ)に提出し帰路に着く。毎週あるサークルの集まりもいつからか参加しなくなり、ただ無為にサークル費を毎月払っている現状。というより、参加する余裕がなかったというのが正しいか。……その金があったら何本ソフト買えるかと考えたことはあるが虚しさだけが残ったのでやめた。    中高と孤高を貫いていた俺はコミュニケーション能力に難を抱え、見事なまでにグループワークが絡む単位を悉く落としかけた。後期は反省を活かしグループワークの少ない講義をとったが、前期とそう変わらない。一つ解るのは、きっと後期はギリギリ駄目そうということだ。  ソロ専に厳しい大学だ等とどうでもいいことを考える間に駅に着く。入学当初は上り下りがあやふやだった俺も、半年も通えば慣れ迷う事なく上りホームへと降りていく。……てへへ逆だった☆  エスカレーターを、降りると丁度各停が停車していたが、一級自宅警備士の俺としては一刻も早く帰りたいのが心情。結局、各停には乗らず渋々列に並ぶことにした。
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