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「勇者になりたい」
これが侯爵令嬢マーガレットの小さい頃からの将来の夢である。
勇者は魔王を倒すために戦う者だ。
そして魔王とは数百年ごとに現れる者で、魔物を操り、多くの者を苦しめるのだ。そんな魔王をマーガレットは倒したかった。
そのためにたくさん鍛錬をし、そこらの男なんぞよりもずっと強くなった。
だが、彼女は後に知ってしまった。
勇者になれるのは男だけであることを。
聖剣を抜き、勇者の資格があるか試すことができるのは名家の男性だけなのだ。女性は聖剣に触れることすらできない。
失意の中、マーガレットは聖女に選ばれてしまう。
聖女は勇者の補佐をするために、防御や回復の力を神から授かる。
そして聖女と勇者は兼任することはない。つまり、どう足掻いてもマーガレットは勇者になれないのだ。
それでも魔王を倒す助けになるなら、と自分を納得させようとした。
だが、何年経っても勇者は現れなかった。
痺れを切らした18歳のマーガレットは、単身自ら魔王の住む城に向かった。
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