親友

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「なぁ!こっち来いよ!一緒に遊ばない!?」 「あ…や、でも…っ」 「外、出れないの?」 「…うん、俺…体弱くて…」 「そうなんだ…じゃあ、そこでいいよ!話そうぜ!」 「…っ、うん!」 こうして俺と隣の家の彼は、二階の部屋と隣の家の庭でちょっと距離はあったけど、色々な話をした。 どこから来たのか、何年生なのか、好きな食べ物は?好きな遊びは?と、彼の事も沢山教えてもらった。 「ねぇ、名前教えてよ!」 「言ったら…笑わない…?」 「笑わないよ?なんで!?」 「だって…女みたいな名前だから…」 また、からかわれたらどうしよう… そんな俺の不安を彼はいとも簡単に消し去ってくれた。 「だったら俺もそうかも!」 「え?そうなの?」 「うん、俺、みつる!お前は?」 「俺…っ、みお…」 「みお…可愛いな♡」 「か…っ、可愛いって言うなよ…っ////」 美剣(みつる)は笑いはしなかったものの、俺の事を可愛いと言った。 向こうにいた時も、退院して半年くらい学校に通ったけど、名前と見た目や身体が弱い事も相まって、女の子みたいとか弱そうとか、いじめの対象になることが多かったから絶対冷やかされると思った。 けど美剣は俺の事、可愛いって言った… 男なんだから可愛いはないだろ…っ、て思ったけど褒められたみたいでちょっと嬉しかったんだ。 そして体調も落ち着き学校に行けるようになると、美剣は俺を家まで迎えに来て一緒に学校に行くようになった。 クラスは違ったけど、休み時間にも来てくれて俺らはどんどん仲良くなって、学校が終わると美剣の家の庭で遊ぶようになったが体調のいい日はそう長くは続かなかった。 「ゴホッ…ゴホッ…」 「美生、大丈夫…?」 「ん…大丈夫…っ」 「あ、そうだ!ちょっとまってて!」 庭で遊んでいる最中に咳が出てきてしまった俺に、美剣が部屋から持ってきた物。 それが、この子供用のトローチだった。 もちろん喘息にトローチがそこまで効く訳が無いのだけれど、それを舐めた瞬間、苦しいのが少し和らいだ気がしたんだ。 それからというもの美剣は必ずそれを持ち歩るくようになり、俺が咳をするとそのトローチを俺にくれたんだ。
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