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1ヶ月もしないうちに奥さんはだんだん衰弱していった。
でも家に帰ってきていた。
寝たきりになっても、俺はずっとその傍らにいた。
俺が隣にいると奥さんは、静かに微笑んで手を握り返すからだ。
そうやって静かに時間がたち、もう最期のときがやってきたようだ。
「おい。」
声をかけたが、力なく奥さんは笑おうとして失敗したようだ。そのまま可愛い昔の。出会った頃の面影を残したまま還らぬ人となった。死ぬまで隣にいれた。
それが、唯一良かったことだった。
本当はこのまま俺も死にたい。だけど、約束だから。一緒には死なない。奥さんの分まで家族を見守っていく。
そして、役目を終えたときやっと君に会いにいく。そして、また2人の時間が始まるんだ。
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