周遊師匠

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「すみません…。私、仕事が遅くて…」 と倉持さんは何度も何度も頭を下げられます。 「どうされたんですか…」 と希世さんが覗き込まれました。 「あら、律さん。まだおられたんですか…」 と希世さんは倉持さんの事を律さんと呼ばれました。 後から聞いた所、午後のお茶の時間に少しお話をされたそうです。 「ごめんなさい。もう終わりますので…」 と律さんは、図面に寸法を書き込み続けておられました。 そして慌てて図面を持って、蝋燭を吹き消されました。 私たちに気を使われたのでしょう。 「すみません。これで失礼します」 と律さんは慌てて出て行かれようとされます。 「あの…」 その様子を見ていて、申し訳なく思ってしまい、私は律さんの背中に声を掛けました。 律さんは立ち止まり、ゆっくりと振り返られます。
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