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「今日は寒いですし、少しお酒でも召し上がりましょうか…」
と希世さんは燗をつけた徳利を持って来られました。
「富山の美味しいお酒らしいですよ」
と私と律さんの前に徳利とお猪口を置かれます。
私は自分のお猪口にお酒を入れて、そこから立ち上る香りを吸い込みます。
何とも芳醇な香りでした。
律さんも申し訳なさそうにお猪口にお酒を注ぎ、覗き込む様に香りを嗅いでおられました。
希世さんは幾つかの小鉢と大きな土鍋を食卓の上に運んで来られました。
「さあ、戴きましょう」
とお鍋の具を呑水にいれて、律さんに手渡されました。
そして私にも。
鍋奉行を名乗る白井さんが居たら大変な事になります。
やれ、それはまだ早い、それは最後に入れるモノ、などと美味しいモノも美味しく無くなってしまう程です。
「今日は新鮮な鱈がありましたので、鱈のお鍋にしたんですよ」
希世さんは律さんに説明されておられます。
律さんは熱そうにお鍋を食べておられました。
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