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「あ、そうそう。今朝話題になっていた吉原の建具も、律さんと律さんの御父上が作られたそうですよ」
希世さんはそう言って律さんに微笑んでおられます。
今朝、話題になっていたと言われると私が吉原に行きたがっている様に聞こえます。
私は少し渋い表情で、
「そうなんですか、やはり吉原のお店の建具などは特別なんですか」
私は箸を置いて律さんに訊きます。
「そうですね。漆で塗った建具などを好む様ですね。高級感ってのも売りですから…」
私は黙って頷きます。
勿論、行った事も無いので、想像も付かないのですが、確かにその一時の時間を楽しむ場所ですので、そう言った趣向も必要なのでしょう。
「先生と要さんの書斎も、吉原調にして戴いたら如何ですか」
希世さんはそう言うと笑っておられました。
律さんは無口な方で、食事の時も聞かれた事以外は殆ど話されませんでした。
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