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「いや、先生もたまには一人の方が良いのかと思ってしまって…。ただでさえいつも一緒ですし、私からもうるさい白井さんからも解放される時間も必要でしょうしね…」
私はそう言ってクッキーを一枚手に取りました。
「誰がうるさいんですか…」
食堂の入口からそんな声がして、振り返ると白井さんが立っておられました。
そして眉を寄せながらいつもの席に座られました。
「先生が居られなくて寂しいかと思って、やって来たら…。まったく…」
小声でそう言いながら外套を横の椅子に掛けられました。
希世さんはその白井さんの外套を衣文掛けに掛けて壁に吊るされました。
「白井さんも珈琲…」
「戴きます」
と食い気味に返事をされます。
「どうやら先生は熱海、三島に寄られた様ですよ」
と私は先生から来た葉書を白井さんの前に差し出しました。
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