周遊師匠

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希世さんは大工さんたちにお出しするお茶とお茶菓子を持って出て来られました。 そろそろ十時になるところでした。 私は希世さんを手伝って、お茶菓子を持って食堂を出ました。 これ以上白井さんに付き合ってられません。 「お茶が入りましたよ」 と希世さんは改築中の先生の寝室へと入られます。 大工の棟梁と若い衆が二人、そして見慣れない女性が、作業着の上に半纏を羽織り、棟梁と一緒に図面を見ておられました。 「あら、新しい方ですか…」 希世さんは台の上にお盆を置きながら訊ねられました。 「ああ、建具師の倉持さんです」 私も台の上にお茶菓子を置いて、頭を下げました。 「初めまして、倉持です」 とその女性が頭を下げられました。 髪を今風に短く切って男勝りな感じの女性でした。
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