第六話

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第六話

「こんばんは〜もしかして上木さんですか?」 僕は指定された駅前の看板の下に立っていた男性に声をかけた。 「あ・・・あーちゃん、うん、そうだよ」 「改めまして、あーちゃんご指名ありがとうございます!今日は恋人コース3時間の指定ですけど、大丈夫ですか?」 「う、うん」 「ふふっ、下のお名前お聞きしてもいいですか?」 「かずきだよ」 「じゃぁ、かずきさんって呼びますね」 僕はかずきさんの腕に自分の腕を絡ませて少し寄りかかる。 「かずきさん、今日はどんなデートします?」 「で、デートか。うん、今日は少しイチャイチャしながら買い物とホテルに行こうかなって」 「うふふ〜楽しみ♡じゃあ、行きましょう〜」 指を絡めつつ、とびっきりの恋人を演じながら僕は恋人デートを楽しむことにした。 「かずきさんはどんな買い物するの?」 「う、うん。ちょっとアクセサリーを見たいなって」 「え、いいじゃん!じゃぁ、あそこ入る?」 僕は少しハイブランドなアクセサリーショップを指差した。 「そうしようか」 かずきさんを連れてお店に入り、彼に似合いそうなアクセサリーを見ていると、 「あ、あーちゃんはアクセサリーしないの?」 「んーあーちゃん実はあんまり得意じゃないかも。指とか首に下げてると重く感じちゃって肩凝っちゃうの」 「そ、そうなんだ。折角だからあーちゃんのも買おうと思ったのに」 「えぇ〜そんな可愛いこと考えてくれてたの?あーちゃん嬉しいなぁ。でもその気持ちだけであーちゃん胸いっぱいだよ♡」 「そ、そっか。あーちゃんが嬉しかったならよかった」 「うん、代わりにあーちゃん選んであげようか?アクセサリー」 「う、うん、そうしてくれると嬉しいな」 僕は無難にシンプルなデザインのシルバーネックレスをかずきさんに選び、彼はそれを買ったので、ついでに買った直後に僕が彼の首にネックレスをかけてあげた。 「似合ってるね♡」 「あーちゃんが選んでくれたからだよ。大事にするね」 「むふふ♡そんなこと言われたら嬉しくなっちゃう」 僕は人目を気にせず彼の腕を抱き寄せて耳元で彼にしか聞こえない声量で囁いた。 「あーちゃん嬉しくて濡れてきちゃった。このままホテル行く?それともあーちゃん焦らして焦らしてまだ買い物続ける?」 上目遣いで彼を見るとかずきさんの喉がゴクリと鳴った。 「ほ・ホテル行こっか」 「うん♡ありがとう〜あーちゃん待てないから早く行こ!」 かずきさんを引っ張るように予定していたラブホテルに入る。 部屋に入るなりがっと顔を掴まれ噛み付くようなキスをされる。さっきまで控えめな感じだったのに、いきなりがっついてきてびっくりしたけど、僕プロだもの、応えるに決まってるじゃん。 容赦なく口の中を蹂躙してくる舌に優しく、少し控えめに絡みつくと彼も少し落ち着いてきて、徐々に自分のペースのキスになる。 がっついてくる人は自分勝手なセックスで下手な人が多い。 なんとかして主導権を握って、少しでも気持ちのいいセックスをしたい。 唇を離して彼に囁く。 「ねぇ、ベット・・・」 言葉を言い終わる前に手を引っ張られ、ベットに投げ出されたかと思えばそのまま勢いでズボンとパンツを下げられる。 「えっ?ちょっ、待って!」 静止の言葉も虚しくローションもないまま、彼は自分の指を舐めて勢いよく指を僕の穴に突っ込んできた。 「っ!!」 勢いが良すぎて、流石の僕のお尻もピリつくような痛みが走る。 グリグリと遠慮のない力加減で解される。ヘッタクソ!!!! まだ指が2本しか入ってないのに、カチャカチャとベルトを外す音がして、一瞬焦る。 「ねぇ、僕が自分で解すの見たくない?」 足を開いて自分の指を入れようとするも、ばっとベットにうつ伏せにされ、そのまま勢いよく僕に侵入してきた。 「濡れ濡れじゃねぇか、デート中ずっとこれのこと考えてたんだろ、この淫乱が!」 いやいや、キャラ変わりすぎだろ!バーでも結構控えめな感じのお客さんだったのに、セックス乱暴すぎ! 「んっ!!!あぁ〜いやっ!おっきいぃぃ」 「この雌犬が!!!」 いやいや、口悪っ!ガンガン遠慮なく奥を突いてくるのはいいけど、相性が悪いのか単に下手なのかいいところに当たらず、痛みを拾ってしまう。 「いいぃ、きもちいいぃ〜浅いところ気持ちいいぃ」 奥つくのやめてほしくて、浅いところって態々伝えたけど、うん。どうやら僕の声が聞こえてないようだ。 「あぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜ッイク!!!孕めよ!!!!!!」 いやいや、叫びすぎ。萎えるわ。もう全てにおいて最悪じゃん。最近ハズレが多すぎる。でも僕はプロだから、ちゃんと彼の射精に合わせてアナルを絞る。 「はぁ〜っかずきさんエッチ激しすぎる!気持ちよかったよ♡」 フーフーフーという鼻息のみ返ってきて、そのまま第二ラウンドに突入した。 結局時間ギリギリで解放された。 「かずきさん、今日はあーちゃん指名してくれてありがとう!じゃぁね〜♡」 「う、うん!こちらこそ今日はありがとう!」 チュッとほっぺにキスをしてかずきさんに手を振り、ホテルから出た。 「あ゛ぁ〜腰痛すぎ。お尻も痛い。最悪、もうやだ」 腰を摩りながらお店に帰ろうとすると、目の前におっきい影がヌッと出てきた。 「へ?」 見上げるとそれは今日一日僕に付き纏っていたりゅうちゃんだった。 やばい。なんか物凄く睨まれてる? 「りゅ、りゅうちゃん?どうしたの?あーちゃんお店帰らなきゃなんだけど、ここで会うなんて偶然だね!」 「・・・・・・・・・」 え、無言怖っ。 「りゅうちゃん??えっと、なんか怒ってるの?」 ギリリリとなんだか鳴ってはいけない音がりゅうちゃんの拳から聞こえた気がした。本格的にやばいかも? 「えっと・・・あーちゃん急いでるから帰るね?」 さっとりゅうちゃんの隣をすり抜けて帰ろうとすも、身体が進まない。うん、思いっきりがっちりと掴まれてる。 「りゅうちゃん離して?ってうぉあ?!」 そのまま僕はりゅうちゃんにお姫様抱っこされて、移動が始まった。 「ちょっ!ねぇ!離してってば!!!聞こえてる?!もしかして聞こえてない????ねぇ!!!離してって!!!!」 全力で腕の中で暴れるが、りゅうちゃんの力が強すぎてびくともしない。 もーお尻痛いし腰痛いし、それなのに離してくれないし・・・もういいや、歩くのよりは楽。諦めよう。 「はぁ〜〜〜〜っ。分かった。抱えててもいいから、お店まで帰して。分かった?お店だよ?」 「あぁ」 やっと返事してくれた。どうやらお店には帰してくれるみたいだから素直に抱えられようではないか。 あぁ・・・今日も一日疲れた。さっきのかずきさんのセックスも疲れたけど、何より今日一日中こいつが引っ付きまくってたのが精神的に疲れた。元凶のこいつにお姫様抱っこされてるのも大概カオスだよなぁ。 力はあるからか、抱え直したりもせず僕は安定した状態で安心感満載で抱っこされてる。りゅうちゃんの歩く一定の振動が疲れた頭をウトウトさせる。 お店に行ってくれるって言うから任せちゃっていいかな? 僕は頭をりゅうちゃんの肩に寄せ、そのまま瞼を閉じて、眠気に身を任せた。
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