594人が本棚に入れています
本棚に追加
「いえ、大成功です! これならば、もうこの後の工程は安心だと思います!」
リーデンハルク様の作ったソースの素は分離せず、上手く乳化された状態だった。リーデンハルク様であれば一回で成功させてしまうのではないか、と思っていたけれど、本当に成功させてしまうとは。私でも何度も失敗しているのに、素晴らしい。
私は恥ずかしいくらいにはしゃいでしまった。まるで子供みたいだ、と自分で気づいたときには
「そう、か……、そうなのか、それは良かった」
リーデンハルク様がほっとしたような顔をして、それが徐々に嬉しそうな表情になって私に笑い掛ける。
――今夜のリーデンハルク様はよく笑う。いつの間に、こんな風に笑うように……。ああ……、私、やはり、この方にとても惹かれている。とても愛おしいと思ってしまう。
「あとはお酢を混ぜて、さらさらになったところに残りの油をまた少しずつ混ぜ、塩、胡椒を入れて、トマトピューレを混ぜ込んだら完成です」
自分の心の変化をリーデンハルク様に察せられないように、と考えていたら反って淡々とした説明になってしまった。これでは、まるで、私がリーデンハルク様を嫌っているように見えないだろうか? なんとも思っていないような顔をしていると。
だから、リーデンハルク様は
「私は君に言っておかなければならないことがある」
と突然切り出したのではないだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!