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「待ってください」
私は咄嗟に彼の言葉を遮ってしまった。
「……?」
「まだ、おっしゃらないでください。よくお考えになって、正しい言葉が見つかったら、私に教えてください。それまでは、どうか、ご自分の心に大事に仕舞っておいていただきたいのです」
リーデンハルク様の考えた言葉が私と同じならば、と期待してしまう自分がいる。けれど、今はおっしゃってほしくはない。違ったら、どうしようと不安に思ってしまうから。
しかし、やはり、今夜の私は少し意地悪だろうか?
「わかった。自分で探してみよう」
難しそうな表情で私の話を聞いていたリーデンハルク様が、やっと納得したように頷いてくださった。リーデンハルク様には不思議なことが多過ぎる。まれに野性的になったり、知らない感情があったり、お食事も……。
「ええ、お待ちしております。――さて、では、仕上げに入りましょう。焼き上げたお魚にリーデンハルク様が作ってくださったソースを掛けて、付け合わせにほうれん草とマッシュルームのバター炒めを添えて、完成です」
疑問は残るけれど、いまはただ、この方のお側に居ることが出来れば、それでいい――。
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