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彗星と共に現れた少女
「お疲れ様ですー」
「ふー、接客業も楽じゃないねー」
同じ時間帯にお仕事を終えた、私達は制服を脱ぎ、通退勤時のお洋服に着替えてロッカーを閉じる
従業員、もとい御給仕するメイド以外通ってはいけない
勝手口兼屋外の休憩スペースで雑談中だ。
つい先日買った可愛いバッグの中から私は一つの箱を取り出して、封を切り
一本つまみだして、口に含むととなりにいた先輩は火をつけたライターを近づけてくれた、正直、他人様に火をつけてもらうのは苦手なんだけど
流石に先輩の厚意を無下には出来ず、ちょっと手間を取りながら、先端部分を火元に寄せて
ゆっくりとフィルター吸い込むと、煙草に短い生を授けた
ひとしきり肺にニコチン混じりの空気を蓄えてから少しだけ溜めた後、ゆっくりと息を吐く、あたりは一気に煙たくなった
「あの客本当鬱陶しいですよねー」
「ねー、ただ、出禁ギリギリのラインついてくるから溜まったもんじゃないよね、あずちゃん」
「それいうとひな先輩も凄いですよ、よく長い事この商売やってますよね」
「んー、本音を言うとビアン系のコンカフェにでも移行しよっかなーと考えてんだよね」
カシュッ
狭い場所に何かが弾けだすような音が響く
ふと、ひな先輩の手元を見ると、片手で缶を持ちつつ、もう片方の手でステイオンタブを引き起こしていた
「え?先輩、酒すか?」
「ううん、流石に夜道は怖いからエナドリで我慢だよ」
喉を何度か鳴らすと、ため息交じりに空を仰いでいた
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