彗星と共に現れた少女

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・ ・ ・ 下車したところからちょっとばかし歩かないといけないけれど、それ自体は眉を(しか)める程のものでも無い為、私は足を踏み外さないようにゆっくりと海の見える方へと進んだ。 流石に平日の夜故に、ひと気はかなり少ない、むしろ、私以外誰も居ないんじゃないかと思う この世界を独り占め出来たかのような錯覚がとてつもなく気持ち良い。 少し肌寒い、楓先輩の言葉がよぎった [随分と空が高くなったね] 私が何かしようがしまいが、地球は回り続けていることを実感する。 ちょっと前までは外に出ては暑い暑いと連呼しながらアイスクリームを頬張っていたのが懐かしい。 ライトアップされた赤レンガ倉庫、遠くの方で見える大橋が美しく 高い空には雲一つなく綺麗なお月さまと星々が自由気ままに輝いている あまりの美しさにスマートフォンを取り出して、何枚か写真を撮ってしまった。 何度も着た事あるみなとみらいだけど、今日はとっても特別な気がしたのだった。 一通り満足できる作品を量産し、ベイブリッジをより間近にダイナミックに見る為に進んでいると遠くの方で流れ星が見えた。 「え!?うそ!?ええ!?お願いごとなんて、何も考えてないよどうしよどうしよ!?」 恐ろしい位に輝きを増して駆け抜ける彗星はそれもテレビやドラマなどで見る より、ずいぶんと長く輝いている 流れ星なんて初めて見るけど、あっと言う間に消えるのは一種の演出なんじゃないかとも思った 「お、お金お金お金!あと美味しいご飯も食べたい!ステーキ食べたい!」 あまりにも欲望に忠実な願い事、でもお金は生きていくうえで必須だもん
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