プロローグ

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プロローグ

 ソファに強く抑えつけられた肩が痛い。 「10年も我慢したんだ・・俺にもヤらせろよ若林」  大学で知り合ってから10年────共に志望していた警察庁への配属が決まり、同僚としてやってきた奴と私。友人で同期、そして一番のライバルである奴はその夜、信じられないほど冷たい眼差しでそう笑った。  ────今日私はソファの上に組み伏せられて、無理矢理服を脱がされかけている。 「み、御子柴・・やめて!」  私は奴から逃れようと、上に迫る奴の身体を腕で押し退けた。少しできた空間から何とか身じろぎして抜け出すも、逃げた身体を捕らえられ再びソファの上にうつ伏せで抑えつけられる。すると奴は私の腕をとった。抵抗するも結局背中に腕を捻りあげられ、私は完全に屈服させられてしまった。  捻られた腕が痛みを叫ぶ中、背中にのしかかられる感覚。反対側の奴の手が、私の履いていたスウェットを下着ごと強引に下ろした。そして奴は無理矢理私を────・・ 「もっと力抜けよ。初めてじゃねぇだろ」  ────どうしてこんな事になった?  こんな奴を私は知らない。    10年来の友人で良きライバルであったはずの奴は、知らない男の人の顔をしていた。  話は三ヶ月前、私と奴が昇進の為に結託し「偽装結婚(ルームシェア)」を始めた事に遡る────。
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