奴の心と秋の空

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 ・・変だ。 「あ、これ美味しーねー・・」 「・・そだな」 「・・・・」  いつもならなんでもあーだこーだ言い合いになるので途切れた事なんか無い会話。今日は奴の淡白過ぎる返しで全てが終了。もうぶつ切り。会話続けるってこんなに難しかったっけ?  てゆうかコイツ、おかしいなって思ってはいたけど、もしかしてこれ怒ってない?超絶機嫌悪くない?怒ると素直になるって分かりにくいから!やっぱりさっきのソファの一件のせいか? 「御子柴ー!やっぱりソファ、御子柴の言ったやつに取り替えてもらおう!?」  こんな気まずいのもう限界です!ソファ見るたびこんな空気になるなら全然10万払います!  涙目で奴に懇願した私。しかし奴はこう言ったきり、不機嫌そうにそっぽを向いただけだった。 「別にソファとかどうでもいいし」  な・・じゃあなんでそんなに不機嫌なのよ?  なんなんコイツ。生理か? 「な、なんでそんなに怒ってんの?」 「別に。もう帰るぞ」  奴は立ち上がるとファストフード店のトレーを棚へと返し、私と目を合わせる事もなくスタスタと店を出て行った。慌てて奴の後を追う私。うぬぅ・・出かけるって言ったり帰るって言ったり・・この自己中めが! 「婚姻届提出しに行くんじゃないの?」 「そういえば郵送もできるし夜間ポストもあるし、まぁ今日じゃなくてもいいだろう」    その後は特に会話もなく・・私達は家に戻って来た。そんなにあのソファが良かったならはっきりそう言ってくれればいいのに。気まずかった私は奴から逃れ、自分の部屋へと引きこもろうとしたのだが。 「えーと・・じゃあ、部屋にいるね?」 「ああ」  いつもは引き止められる腕。今日はあいつの手が私のそれを捕らえることは無かった。  マジでなんなんあいつ。訳分からん。  もういいや。これで気兼ねなく漫画読めるし。  でも────。 「漫画ってこんな感じだったっけ・・」  前はもっと面白かったように感じた。気持ちの問題なんだろうか。  その後、夕食時になっても、奴から声がかかることは無かった────。
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