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「はい、それは恋の芽生えですね」
翌日、学校で唯一の友達である
同級生の佐橋雄大に心の内を相談したら、
そんな答えが返ってきて驚いた。
「葵ちゃん、どうする?どうしたい?」
「‥‥わからない」
そもそも告白されたのも初めてだし、
他人を意識したのも初めてなのだ。
とはいえただひとつ言えること、
それは今に至るまで、
頭の中が彼でいっぱいだということだ。
「恋の芽生え‥‥」
佐橋の言葉を反芻し、僕は考え込んだ。
これが、恋というものなのか。
突然自分の中に現れたその気持ちに
戸惑っていた。
再び彼と職場で会うまで、あと4時間。
どんな顔をして会えばいいのかと
ひたすら浮足立つ自分がそこにいた。
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