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「ほら、こうやってやるのよ」
そう言って山村は、力士が四股を踏むようなポーズを取り、股を開いたまま身体の重心を下げて数秒間保っていた。
「えっ!このポーズを!?」
あまりにも足を広げたポーズ。
これは人の居るところでは恥ずかしい。
頬を赤くしながらも、汐里は山村を見つめていた。
「でも、これが効くのよ。股関節の筋肉にじわ~っとくるの!痛いけど気持ちいいよ!やってみな?」
「えっ!今ここでですか?」
あまりにも恥ずかしすぎて、汐里は困った表情で手をぶんぶん振り回した。
「今ここでやらなくてもいいよ。寝る前なんかにやれば?林さん一人暮らしなんだし、誰も見ないんだから思いっきりやれるでしょ?」
「あ、今一人暮らしじゃなくて」
汐里は伏せ目がちになり、違う意味で頬を赤くした。
「え、違うの?実家に戻ってるとか?」
「違うんです。その、彼氏のお家で、一緒に住んでます……」
数秒間の沈黙。
その空気を破ったのは、山村の雄叫びだった。
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