1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ~ん、気持ち良かったぁ。樹くん、ただいまぁ、あれ?」
リビングにいたはずの樹がいない。
テーブルの上にスマホがぽつんと置いてあるだけだ。
キョロキョロしていると、ザーッと水の音がして樹がトイレから戻ってきた。
「あ、樹くん!約束守ってくれてありがとう!」
にこにこ笑う汐里はスッキリした表情だったが、樹は逆に苦笑いをしている。
「運動してたの!足の筋が伸びて気持ち良かった~!」
普段使わないところが動いたからだねぇと嬉しそうな汐里を前に樹は、はははと力なく笑うしかない状態だ。
「何の運動か知らないけど、この家以外で絶対禁止な!」
汐里のことを後ろから抱きしめながら樹は言った。
言われなくとも、この家以外で四股を踏むようなポーズは恥ずかしくて出来ないのでするつもりもなかったが、どうして樹が強く言うのか汐里は理解できずに不思議そうな表情を見せた。
「オレ、めちゃくちゃ我慢したよ。褒めてくれても良くない?」
「うん!樹くん偉い!すごい!さすが!」
樹にぎゅっとされて頬を染め、汚れのない笑顔で樹のことを褒めてくれる汐里に樹は続けた。
最初のコメントを投稿しよう!