あんこは水戸黄門

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あんこは水戸黄門

————————————————— 【前回までのあらすじ】 AI翻訳機によって話せるようになったあんこ(♂)。 自分の意思を人間に伝えられるけど、人間の言葉は分からない。 猫からの一方通行のコミュニケーションは人間界でどこまで通用するのか? ————————————————— 今日のあんこは「水戸黄門モード」に設定されている。 天気が良かったので、あんこは散歩に出かけた。 あんこがしばらくブロック塀の上を歩いていると、友達のおじいちゃんに会った。 「あんこちゃん、こんにちは。」 あんこはブロック塀から飛び降りておじいちゃんに言った。 「格さん、行きますよ。」 おじいちゃんはあんこが水戸黄門モードなのを理解した。 「今日は水戸黄門かー。わしの好きな時代劇だ。 ははー、黄門様、お供します。」 おじいちゃんはあんこのお供になった。 *** あんことお供のおじいちゃんが歩いていると、小さい方のヤツの友達に会った。 「おー、あんこ!今日は何モード?」 「助さん、行きますよ。」 小さい方のヤツの友達は水戸黄門を知らない。 「何それ?知らないなー。まあいいか。ついて行ってやるよ。」 小さい方のヤツの友達はあんこのお供になった。 *** あんこ、格さん、助さんの3人が歩いていると近所のおねえさんに会った。 「あんこちゃん、こんにちは。今日はどんな冒険してるの?」 「お銀、行きますよ。」 おねえさんが不思議そうな顔をしている。 格さんは気を利かせておねえさんに説明した。 「水戸黄門、知ってるー。お銀ってお風呂シーンのよね?今日はお風呂ナシでいいわよね?」 おねえさんはあんこのお供になった。 *** あんこ、格さん、助さん、お銀の4人が歩いていると悪代官(近所の野良猫)に出くわした。 悪代官は黄門様に因縁をつけてきた。 あんこが格さんをチラッと見た。 「格さん、例のものを。」 あんこは格さんに命令した。 「・・・」 格さんには「例のもの」が分からない。 しかたなく助さんがフォローする。 「おじいちゃん、あんこがなんかしろって言ってるよ。」 格さんはやっと「例のもの」が分かった。 「おー、お決まりのあれね。ひかえおろー、このもんどころが目に入らぬかー。」 おじいちゃんはポケットに入っていた携帯電話を悪代官に見せた。 格さん的には印籠の代わりらしい。 悪代官は印籠にビビったのだろう。フンと言ってどこかに行ってしまった。 *** 悪代官を懲らしめたあんこはお腹が空いたので家に向かった。 黄門様一行が家に着くと、ママが家から出てきた。 「皆の者、頭が高い!控えおろう!」 そう言うとあんこは家の中に入っていった。 ママはあんこのお供の3人を労った。そして謝った。
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