家族の役割

1/1
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ

家族の役割

「ガチャ」 大きい方のヤツが帰ってきた。とりあえず少し高い声で鳴いて足に頭を擦り付けておく。 「ニャー」 大きい方のヤツはいそいそとご飯の用意をしに行く。その途中のトイレの前で軽くニャと合図しておく。掃除してもらわないと次の用に差し支える。 「あんこ、偉いなーいっぱい出たね。」 多分ほめているのだろう。当然だ。 そして大きい方のヤツはオレのごはんを用意している。 ご飯を食べていると誰かが帰ってきた。この声はママだ。ママだー! 「ニャー ニャー」 条件反射的に走ってママのところに駆け寄る。ママはオレの頭をなで顎をなで耳をなで、なんて幸せなんだ。生まれてきてよかったとさえ思える瞬間だ。 「遅くなってごめんねー残業でさあ。今からごはんの支度するね。」 ママは言う。 「ゆっくりでいいよー」 大きい方のヤツが答える。 オレの名前はあんこ。ママと大きい方のヤツと小さい方のヤツと暮らしている。 趣味はおやつと箱に入ること、仕事はパトロール。危険がないかを見回らないといつ誰が狙ってくるかわからない。 来るべき戦いに備えて少しでも寝ておこう。 おなかも満たされ丁度眠くなってきたところだ。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!