0 滅びゆく世界にて

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0 滅びゆく世界にて

「はぁっ……はぁっ……!」  雑草一本すら生えていない枯れ果てた大地を、私は必死に走っていた。  魔物に追われてる……足音からして、ウルフが3匹程度か。でも、振り返って確認する余裕なんてない。一刻も早く、丘の上まで行かなきゃ行けない……! 「っ……着いた……!」  丘のてっぺんにある、長方形の形をした石碑に書かれた文字列に触れ、内容を読み解く。 「(いにしえ)の術式よ……私を、進むべき道へ導け!」  私の声に呼応して、石碑が輝く。刹那、石碑の前に黒い穴が生まれた。 「……待ってて、みんな。私が……こんな世界変えてやるから!!」  私は勢いよく穴の中へと飛び込んだ。穴の内部は1寸先すら見えない暗闇で、私が望んでいる場所に辿り着けるか不安になる。  でも……行くしかないんだ。  私が覚悟を決めて前を見つめた、その時。  ガゥッ!!  ウルフの鋭い爪が背中に食いこんだ。 「うぁっ……!」  鋭い痛みで気を失いそうになる。けど、負ける訳にはいかない……!私は見を翻して拳銃を構え、炎魔法が込められた銃弾を放った。 「来るな……!!」  銃弾が炸裂すると、激しい炎がウルフを包んだ。  ウォォォォ……!  ウルフの断末魔が響いて……やがて、それは動かなくなった。 「よかった……退け……た」  安心したのも束の間、激しい出血のせいで意識が遠のいていく。  ……ダメ。こんな所で、死んじゃダメなのに……。  そんな意思も虚しく、私の意識は闇の中へと溶けていった……。
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