3人が本棚に入れています
本棚に追加
0 滅びゆく世界にて
「はぁっ……はぁっ……!」
雑草一本すら生えていない枯れ果てた大地を、私は必死に走っていた。
魔物に追われてる……足音からして、ウルフが3匹程度か。でも、振り返って確認する余裕なんてない。一刻も早く、丘の上まで行かなきゃ行けない……!
「っ……着いた……!」
丘のてっぺんにある、長方形の形をした石碑に書かれた文字列に触れ、内容を読み解く。
「古の術式よ……私を、進むべき道へ導け!」
私の声に呼応して、石碑が輝く。刹那、石碑の前に黒い穴が生まれた。
「……待ってて、みんな。私が……こんな世界変えてやるから!!」
私は勢いよく穴の中へと飛び込んだ。穴の内部は1寸先すら見えない暗闇で、私が望んでいる場所に辿り着けるか不安になる。
でも……行くしかないんだ。
私が覚悟を決めて前を見つめた、その時。
ガゥッ!!
ウルフの鋭い爪が背中に食いこんだ。
「うぁっ……!」
鋭い痛みで気を失いそうになる。けど、負ける訳にはいかない……!私は見を翻して拳銃を構え、炎魔法が込められた銃弾を放った。
「来るな……!!」
銃弾が炸裂すると、激しい炎がウルフを包んだ。
ウォォォォ……!
ウルフの断末魔が響いて……やがて、それは動かなくなった。
「よかった……退け……た」
安心したのも束の間、激しい出血のせいで意識が遠のいていく。
……ダメ。こんな所で、死んじゃダメなのに……。
そんな意思も虚しく、私の意識は闇の中へと溶けていった……。
最初のコメントを投稿しよう!