1 瞳の中の青空

1/4
前へ
/27ページ
次へ

1 瞳の中の青空

 ーーおい、大丈夫か……?  誰かの声がする。重い瞼を開けると、そこには白い髪の男の子がいた。男の子は、白地に黒いフードがついた服に身を包んでいる。大きな瞳は、美しい青色だった。 8189f087-5ab8-47f2-84ab-8611364e96f1 「綺麗な目……」  私が思わず見とれていると、男の子は少し照れ笑いして、 「目の色?空の色と同じなんだ。本物は見た事ないけどさ」 と言った。 「そんなことより……君、どこから来たの?服もボロボロだし、下界に一人でいるなんて……あ、君も蘇生士なの?」 「蘇生士……?」 「そう。蘇生士って知らない?」  蘇生士……一体何だろう。それだけじゃない。私の名前は?どこから来て、どうしてここで倒れてたの?  何もかも、分からない……。 「ごめんなさい……私、何も分からない」  私は目を伏せた。でも、男の子は私の頭を優しく撫でて笑った。 「大丈夫。きっと混乱してるだけだよ。ほら、俺と一緒に浮遊大陸へ帰ろう?」 「浮遊大陸……?」  私が戸惑っていると、男の子は東の空を指さした。そこには、確かに空に浮かぶ大陸が存在した。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加