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「っ……待ってて。今助ける!」
私は急いで銃を拾い、ダークフェンリルに向けて発砲した。銃弾が当たると、炎が弾けてダークフェンリルの脇腹が焼ける。でも……。
グルルルル!
ダークフェンリルは怯まない。それどころか、狙いを私に変えて、こちらに迫ってくる。止めなきゃ。止めなきゃいけない。なのに……怖くて体が動かない……!
狼の牙が迫り、死を覚悟したその時。
「『フレイム』」
涼し気な男の人の声と共に、ダークフェンリルが激しい炎に包まれる。私が撃った弾とは、比べ物にならないくらい、強い炎だった。ダークフェンリルは暫く悶え苦しんでいたが、やがてピクリとも動かなくなった。
炎の向こう側に、宝石みたいに輝く金髪の男の人が立っている。
「ライガ先輩……!」
ライガと呼ばれた男の人は、静かに男の子に歩み寄り、手を差し伸べた。
「怪我は無いか?」
「はっ……はい!」
男の子は立ち上がると、すぐに私の所へ駆け寄ってきた。
「大丈夫だった!?君、俺のこと助けて、危ない目に遭って……怖かったよな?ごめん!」
男の子が頭を下げる。それを見た私は、慌てて首を横に振った。
「助けなきゃって思ったのは私だし……大丈夫」
「で、でも……」
「君は、私を助けようとしてくれた……だから、こちらこそごめん」
私達がお互いを庇いあっていると、ライガさんが私に近寄ってきた。
「君は誰だ?ガーデン生ではないな?」
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