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12、助けてくれた人
18時。杉並中央警察署にて。
大きな事件が起こることもなく、早い時間で仕事を切り上げることができた。
デスクを片付けて康介は立ち上がる。
この後、大市美海が拉致された現場に赴き聞き込みをしようと考えていた。
その時、不意に携帯端末から電話の呼び出し音が鳴った。
見れば、着信には『中岡恭志』と表示されていた。
(楓の担任じゃないか。一体何の用だ?)
緊急の用事でもない限り、この番号には掛けてこないはず。
何となく嫌な予感を覚えつつ、康介は電話に出た。
途端に彼の顔が険しく歪む。
そして、通話を終えると同時にその場から駆け出した。
中岡から、楓が今病院に居ることを伝えられた。
帰宅途中で暴漢に襲われて負傷したらしい。
偶然、その場に居合わせた中岡が暴漢から楓を助け出し、救急車を呼んだ。
そして、搬送された病院から楓の父親である康介に連絡を入れた。
中岡から話を聞いた康介は、教えられた病院へ急ぎ向かった。
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