2、血の繋がらない親子②

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二人で一緒にマンションのエントランスへ向かう。 一緒に居れるのはここまでだ。 康介は職場である警察署へ、楓は学校へ向かう。 「あ……」 「楓?」 不意によろめいた楓を康介が支える。 相変わらず華奢な体だと思った。ちょっと心配になるぐらいに。 「どうした? 体調が悪いのか?」 「ううん。ちょっと目眩がしただけ」 「大丈夫なのか?」 「うん。もう大丈夫」 「本当か?」 「うん、大丈夫。お守りがあるから」 そう言って楓はシャツの中に隠していた首飾りを取り出して見せる。 細い鎖の先にあるのは、白銀の指輪だった。 「ああ、これ……」 それは、康介が楓に渡したものだった。 かつて楓の親になることを決めた時、康介は誓いの証として自分用に指輪を買った。 10年間、それを左手の薬指に付けていた。 しかし先日、事件に巻き込まれた楓が社会復帰する際に、不安そうにしていた彼に“お守り”としてその指輪を手渡したのだ。 「大事にしてくれてるんだな」 「うん。いつも首に掛けてる。ちょっと苦しくなっても、触れると落ち着くから」 「そうか。だが、くれぐれも無理はするなよ。  辛い時は、先生なり保健室なりをちゃんと頼るんだぞ。良いな?」 「はい」 「よーし、良い子だ」 にっこりと笑い、康介はよしよしと楓の頭を撫でた。 「じゃあ、行っておいで」 「康介さんも、お仕事頑張ってね」 「ああ」 お互いに手を振ってその場を別れる。 名残惜しいが、仕方が無い。 駅に向かう楓の後ろ姿を見送って、康介は勤務先の警察署へ向かった。
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