18、真面目な娘の裏の顔

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「相手からの連絡は何時頃だった?」 「8時ぐらいだったかな。10時まで予備校に居ることになってるから、  昨日は2時間のお楽しみコースだと思ってたけど。何で家に帰らなかったんだろ」 「お楽しみコースって……」 「どんなのか知りたい? おじさん、カッコいいから私で良ければ相手するよ」 「やめなさい」 「ちっ、つまんないの」 「…………」 色目を使う女子高生を一蹴した康介に、高倍が尊敬の眼差しを向ける。 「因みに、恋月さんの相手がどんな男なのかは知ってる?」 「顔は知らない。でも、気持ち悪い奴だって言ってたかな」 「気持ち悪い? どんな風に?」 「サディストだって言ってた。行為の最中に背中とかお尻とか叩くんだって。  顔はまずいから見えないところをってことよね。  まあ、その分“お小遣い“をたっぷり貰ってたみたいだけど」 「…………」 「それから、イク時には『カエデ』って叫ぶんだって」 「は?」 「そのオッサンの本命の子の名前なんじゃないの?」 「『カエデ』、なのか」 「うん。初めて会った時からずっと、そうなんだって」 「いつからか分かるかな?」 「今年の6月ぐらいだったかな。  『カエデ』ってのが誰かは知らないけど、恋月はその子の代わりなんでしょうね」 「…………」 奇しくも息子と名前が被っていたことで、康介の顔が途端に険しくなる。 その顔で女の子を睨むのはまずいと思い、高倍が前に出た。 「色々教えてくれてありがとう。それじゃあ、最後に一つ良いかな」 「なになに?」 「恋月さんと行ったカラオケ店の名前と場所を教えて欲しいんだけど」 「ああ、新宿のお店だよ。えーと、店名は『カラオケパーク』だったかな」 「そっか。ありがとう。助かったよ」 高倍が締めの挨拶までを担当し、女子生徒は立ち去っていった。
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