22、本性①*

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「さてと」 窓を閉めた中岡がゆらりと振り返る。 床に倒れていた楓を抱き上げて、再びベッドの上に横たえた。 「すまなかったね。痛かったろう?   でも、君が私の言う事を聞かないのが悪いんだよ」 先ほどとは打って変わって、怖いぐらいの猫撫で声だった。 楓の口元に滲んでいた血を手で拭い、その指をびちゃびちゃと舐め回す。 美味しそうに味わう中岡の顔は狂人のそれだった。 「君が従順な良い子だというのはよく知ってるからね。  私の言う事をちゃんと聞いてさえいれば、痛いことはしないからね」 愛おしむように両手で楓の顔を包む。 それから、胸へとその手を滑らせる。 途端に、それまで放心状態だった楓の目に正気が戻った。 「嫌だ、嫌だ! 離して……離して下さい!」 ありったけの力で抵抗した。 非力である為、中岡はものともしていなかったが、それでも楓はもがいた。 その際、勢い余ってベッドから転げ落ちた。 転げ落ちた先にあるクローゼットの扉に体をぶつけてしまう。 痛みで呻く楓だったが、次の瞬間、痛みなど吹き飛んだ。
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