25、追跡①

1/2
前へ
/90ページ
次へ

25、追跡①

女子高生の津木恋月(つぎれんげ)は、親や先生の前では真面目な良い子の面を見せていた。 その一方で、予備校をサボってパパ活に勤しむ裏の顔も持ち合わせていた。 そんな生活の果てに失踪してしまった。 彼女が失踪する直前に会っていたのが、中岡恭志という中年男性だった。 津木恋月のパパ活の相手だと思われる。 彼女の失踪について何か知っているものと判断して、康介は同僚の刑事・高倍と共に中岡の元を訪れた。 彼の勤務先である、天津風高等学校に。 そこは康介の息子・楓が通う学校であり、奇しくも中岡は楓の担任の教師だった。 「え? 今日はもう帰ったんですか」 「はい。既に退勤されてますね」 「確か、6時ぐらいまでは生徒への補習があると聞いていたのですが」 「その辺は分かりませんが、とにかく5時30分にて退勤となってます」 「そうですか。分かりました」 担当の職員に頭を下げて、康介と高倍は事務室を出た。 6時過ぎに学校を訪れた時点で、中岡は退勤したとのことだった。 彼についての詳細は事務担当の知るところではない。 「空振りでしたね」 「そうだな。仕方ない、奴の自宅に向かうか」 「でも、普段より早い退勤ってことは、何か用事があるのかも」 「さあな。自宅に帰ってなかったら、改めて考えよう」 建物から出て、車に乗り込む。 次に向かうは中岡恭志の自宅アパートだ。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加