26、追跡②

1/3
前へ
/90ページ
次へ

26、追跡②

そうこうしているうちに、二人を乗せた車は目的地に辿り着いた。 駐車場に車を停めて、アパートを見据える。 中岡の自宅アパート──質素だが小綺麗な建物だった。 階段を駆け上がり、中岡の部屋の前まで辿り着く。 インターホンを鳴らし、本人が出てくるのを待った。 「…………」 反応が無い。 もう一度鳴らすが、やはり何の反応も無かった。 「出ませんね」 「そうだな」 ため息混じりに扉を叩く。 「中岡さん、警察の者です。少しお話を伺いたいのですが、おられませんか?」 何度かノックして、玄関扉の向こうに声を掛ける。 念の為の行為なので当然返事は無い。 少しの間、耳を澄ませて中から物音がしないかを確かめる。 「……居ないか」 「まだ帰ってないんですかね」 「いや、駐車場に奴の車はあった」 「じゃあ、一度帰ってはいるんですね」 「そうなるな」 「帰ってから、どこかに行っちゃったのかな。また改めますか」 「そうだな。他に、奴が行きそうな場所を当たってみるか」 「面倒くさいっすね」 「仕方ない。行こう」 康介と高倍はその場を立ち去った。 コツコツと足音を立てて歩き階段を降りる。 そして、アパートの裏手にある駐車場へ向かった。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加