28、お前が悪い

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「そいつのせいだ!」 「⁉︎」 「全部そいつが悪いんだ!」 高倍に押さえつけられていた中岡が、顔だけを上げて康介と楓に向かって叫んだ。 訝しい顔で、ゆらりと康介がその方を振り返る。 「何を言ってる?」 「これまで上手くやってこれたのに……!  藤咲楓、お前のせいで俺は狂わされたんだ!  津木恋月が死んだのもお前のせいだ!  お前が存在していなければ俺は狂わずに済んだ。  彼女が死ぬこともなかった。全部全部、お前のせいだ!!」 「テメェ……」 中岡のあまりにも身勝手な言い分に、康介の目に殺意にも似た怒りが宿る。 その刹那、鈍い音とともに中岡の潰れた悲鳴が響いた。 「お前はもう黙れ」 「ぐうう……」 高倍が中岡の頭を掴み、床に叩きつけたのだった。 それを見て、康介は怒りを鎮めて再び玄関扉の方へ向き直った。 その時、扉が外から勢いよく開いた。 応援で駆けつけた刑事たちだった。 「藤咲! それに楓くん? これは一体……」 先頭で入ってきたベテラン刑事の米寺が、楓を抱えた康介を見て目を見開く。 康介は、部屋の中にいる高倍と中岡を目で示した。 「詳しいことはあいつから聞いてください。  俺は、楓を病院に連れて行きます」 「……そうか。分かった」 険しい顔で楓を抱える康介を認めて、米寺は何も言わずに頷いた。
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