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29、真相
逮捕された中岡は、津木恋月の殺害をあっさりと認めた。
室内に遺体があったことから、言い逃れは不可能だと観念したようだった。
中岡と恋月の関係は今年の6月頃から始まっていた。
中岡から声を掛けて、恋月がそれに応えたものだった。
何ヶ月もお互い合意の上の関係だったが、ここにきて恋月がより高額の金銭を要求してきた。
応じなければ、中岡の勤務先にパパ活の件をバラすと脅迫してきた。
逆上した中岡は彼女に殴る蹴るの暴行を働いた。
気付いた時には、撲殺された恋月の遺体が床に転がっていたという。
どうやら中岡は、精神が昂ると我を忘れて酷い暴力に走るきらいがあるらしかった。
取調べの最中、中岡はしきりに「本当は藤咲楓が欲しかった」と言った。
「あの女は楓の代わりに過ぎなかった」
「あいつに出会わなければ自分は狂わずに済んだ」
「全部あいつのせいだ」
などと、戯れ言を繰り返していた。
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