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34、愛情ゆえの気掛かり②
(はあ……どうしたものかな)
シャワーを浴びながら康介は考えを巡らせる。
夕食の最中、保護者説明会での内容を簡単に説明した。
3日ほどは休校になること、担任の変更、その他諸々……
それから、中岡が起こした事件について、楓のことは伏せてあることも。
楓は何度も頷きながら康介の話を聞いていた。
特に顔色を悪くすることも無く、淡々とした様子だった。
(無理してないはずが無いと思うんだが。
そういう素振りを見せてくれないんだよなあ)
否、病室で目を覚ました時は酷く泣いていた。
幼い子供のように泣きじゃくっていた。
それで良いと思っていた。
しかし、病院を出てからの楓はずっと気丈に振る舞っていた。
事情聴取には淡々と応じていたし、家事も完璧にこなしていた。
その一方で、康介が居ない間には薬を飲んで精神の安定を図っていた。
(何で無理して気丈に振る舞おうとする?
──って、俺に心配かけないようにする為か)
結論に辿り着き、康介は小さくため息をつく。
(俺ってそんなに頼りないかな。
それとも、やっぱり実の親子じゃないから遠慮があるのかな)
こればっかりはどうしようもない。
機会がある限り、言葉で思いを伝えてやるしかない。
(いつか本当に分かってくれると良いんだがな。
遠慮なんか要らない、いっぱい心配を掛けて良いんだって)
思いを胸に閉じ込めて、康介はシャワーを終えた。
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